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日本酒と温泉の専門ジャーナル

刀のようなキレと、星のようなきらめき ~信越自然郷、角口酒造店の蔵元紹介~

2018年3月、長野県飯山市にある酒蔵、

角口酒造店へ行ってきました。 

 

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“ここで愛される酒”を、まっすぐに

 角口酒造店は、新潟県との県境、長野県飯山市に所在する、県内最北端の蔵元です。
冬の間は3メートル以上の雪に覆われる日本有数の豪雪地帯ですが、3月初旬のこの日は、雪は残っているものの、穏やかな気候でした。

創業は明治2年。「北光正宗」という酒名は、北の夜空に光輝く柄杓型をした北斗七星より命名されたそうです。当日は、経営者兼杜氏を務める村松裕也氏が、酒造りに関する興味深いお話を交えながら蔵を案内して下さいました。

長野県には、小谷杜氏、諏訪杜氏、飯山杜氏と3つの流派がありますが、彼はまだ30代の、若き飯山杜氏です。大学で醸造学を学んだ後、実家である蔵に入って1年間、杜氏代行を務めながら引き継ぎをし、翌年には若干25歳で杜氏を任されたという経緯があります。


手造りと、マニュアル、どちらも重要

当日は仕込みの最中で、蔵の中では朝から若い蔵人さん達が忙しく働いていました。その中で、村松杜氏が話されていた内容が、リーダー論にも通じるところがあり、非常に興味深いものでした。彼は、杜氏になってからマニュアルを作成し、杜氏である自分がやらなくても、蔵人に任せられることは任せるよう整えたそうです。時間にも厳しく、休憩時間となったら作業をその場で切り上げ、きちんと休んでもらい、また、休日もしっかり確保されています。

酒粕をはがす作業の途中で休憩時間になったと思われる、あと少し残されたはがしかけの状況を見て、微笑ましくもありましたが、時間厳守が実践されている証だと感じました。職場環境を整え、蔵人達の士気をあげ、チームワークをよくすることが、最終的によい酒造りに繋がるというお話には、その通り!と、うなずきっぱなしでした。

 

キレ味のよい綺麗な酒造り

北光正宗は、厳寒の澄みきった空気の中で、日本有数のブナの原生林をいただく麗峰・鍋倉山より湧き出る清らかな水と、長野県産の酒造好適米である「金紋錦」、「美山錦」、「しらかば錦」をふんだんに使って造られています。地元の方々に日々愛飲されている普通酒から、県外向けの大吟醸酒まで、それぞれ酒質は異なるものの、北光正宗のコンセプトに合わせた酒造りを貫いているそうです。

 

昭和59年生まれ「59醸の会」とは?

長野県内の、昭和59年度生まれの酒蔵跡取りユニットで、“極上の酒を醸す”という意味を含めて名付けられました。現在は5つの蔵元から構成され、信越自然郷の中では、角口酒造店と、中野氏の丸世酒造店が名を連ねています。

毎年テーマを決め、5蔵が各々試行錯誤したオリジナリティあふれる一品を出し合い、イベントなどでお披露目しています。2018年のテーマは「18金」だそう。金紋錦を使った今年のお酒が出揃う機会を楽しみにしているファンは多く、何を隠そう、私もそのうちの一人です。

 
試飲しながらの酒談義

セミナーでどのお酒を紹介しようか、お話を伺いながらテイスティングをさせて頂きました。結果、一番、北光正宗らしいお酒を、ということで、金紋錦を使った特別純米酒をチョイス。すっきりと飲みやすい反面、上品な甘み旨みも感じられる、とてもバランスの良いお酒だと感じました。食事の邪魔をせず、どんな料理にもすっと寄り添い、後味はすっきり。飯山市内ではもちろん、都内でも人気が高まっているのが分かります。また、その品質は、全国新酒鑑評会での金賞受賞をはじめ、数々の受賞歴からも証明されています。

 

地元は高齢化が進んでおり、飲酒人口が減っているため、「若い世代や県外の方にもどんどん飲んでもらわないと!気づいたら一升瓶が空いてる、ぐらいに。」と、いたずらっ子のような目で語ってくれた笑顔が印象的でした。

 

冬には、こたつに入りながら。夏はキンキンに冷やしてすいすいと飲みたい、そんな、北光正宗のお酒を、ぜひお試しください。

 

(角口酒造店オンラインショップからも購入可)
http://shop.kadoguchi.jp/

 

<角口酒造店株式会社インフォメーション>
●住所:長野県飯山市大字常郷1147

  • 電話番号:0269-65-2006
    ●蔵元見学:要問合せ
    ●販売所:あり(試飲可)
    ●アクセス:
    <車の場合>
    上信越自動車道 豊田飯山ICより約20分
    ●駐車場:あり
    <電車の場合>
    JR戸狩野沢温泉駅より車で3分、徒歩約15分