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日本酒と温泉の専門ジャーナル

蔵元訪問:田中屋酒造店(水尾)長野県飯山市

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酒は、水がいのち。佳い水で醸す、酔いお酒。

長野県飯山市にある酒蔵、田中屋酒造店へ行ってきました。
(2018年2月の記録です)

 

“水のごとく旨き酒”を造るための努力

田中屋酒造の代表銘柄は「水尾」。

「水尾」(みずお)の名の由来は、仕込み水である、野沢温泉村にある水尾山の湧き水からきています。

「水尾の酒のこだわりについて語るには、まずは、水から。」

田中社長は、蔵案内にさきがけ、お話をして下さいました。


現社長(6代目)が25年前、蔵に入ってから最初に研究したのは、水でした。それまで使っていた井戸水の水質が硬すぎるため、吟醸酒等の製造には不向きだと分かったからだそうです。よい水を求めてあちこちに出向いた結果、水尾山の水と出会い、以降、仕込み中は日に何度も、片道20km北の水尾山のふもとまで行って、水を汲んできています。
私が取材した当日も、ちょうど、タンクローリーで水を汲んで戻ってきたところに出くわしました。仕込み水を試飲させて頂いたのですが、やや甘みを感じる、柔らかな水でした。酒質を決めるのはもちろん水だけではありませんが、水尾の酒とこの水との共通点を、はっきり感じとることができました。


地のもので、酒を造る

地酒とは何か?と考えた時に、やはり米も極力、地元産にこだわりたいと考えられ、現在は、長野県産の酒造好適米を100%使用しているとのこと。

特に、地元である木島平村のみで栽培されている希少品種「金紋錦」は、今や注目を浴びている酒米のひとつです。交渉の末、安定的に確保できるようになったそうで、金紋錦の良さについては、この後訪れる「信越自然郷」内の他の酒蔵さんでも、度々、話題になりました。

 
蔵人も、地元にこだわる

2月の最後、造りまっ最中の蔵の中をご案内頂いたのですが、働いている蔵人さん達は、若く、てきぱきと仕事をこなしていました。田中屋酒造の地酒を造るキーポイントは、「人」でもあります。杜氏も地元「飯山杜氏」、蔵人たちも近くに住む方々。造り期間中は、寝食を共にするするため、その信頼関係が、お酒の質にも現れると考えていらっしゃるそうです。

 
ラインナップのバラエティは基本形があってこそ

さて、様々な角度から「田中社長の考える“地酒”について」そして「水尾の酒造りのこだわりについて」お話を伺ってきたのですが、テイスティングを通して、それらがストンと腑に落ちたのを感じました。

ズラっと並べられたラインナップの中で、まずは水尾の真骨頂である「特別純米酒 金紋錦仕込み」を味わい、それを基軸として他の銘柄をきき酒していきました。

全てのこだわりがぎゅぎゅっと詰まっている「特別純米酒 金紋錦仕込み」は、木島平産金紋錦を100%使用した、特別純米酒です。淡白でシンプルな味わいの中に、独特な深みとふくらみ、幅のある味わいを感じられます。

「どんな料理が合いますか?」と社長に尋ねたところ、間髪入れず「野沢菜が最高でしょうね。」とのお答え。実際に、セミナー当日はこちらのお酒をサンプルとしてお出しし、野沢菜との相性を試したのですが、お酒と野沢菜に共通する、大人だからこそ分かる心地よい酸味と、ほのかな苦みが、有無を言わさぬベストマッチングでした。

普段、野沢菜と地酒なんて、当たり前に合せているだろう参加者皆様も、マッチする理由をお伝えしたところ、なるほど!と膝を叩き、「これからは自信をもって観光客におすすめします!」とおっしゃって下さいました。

 
すいすいとのみ続けられると、地元の方々も愛飲

女将もセミナーにご参加下さったご縁で、帰りの新幹線までのわずかな時間でしたが、飯山駅前にある居酒屋さん「よってかし おんと」に伺いました。和気あいあいと、皆さんが杯を傾けていたのですが、驚いたのは、日本酒の一升瓶をキープしてぐいぐいと飲んでいらっしゃる光景!そして、その一升瓶はまさに、水尾のスタンダード酒でした。

都内は飲食店が多く、さらに色々なお酒が並んでいて移り変わりも激しいので、なかなか「マイ一升瓶」をキープしている方はいないのでは?こちらはお蕎麦が美味しい居酒屋さんなのですが、水尾とお蕎麦も、よく合いましたよ!
「よってかし おんと」 https://www.facebook.com/onto3ky/


皆様も飯山を訪れた際にはぜひ、水尾のお酒を「野沢菜」や「そば」など、土地のものと合せて楽しんでみて下さい。

<インフォメーション>

田中屋酒造店 

URL:http://www.mizuo.co.jp
●住所:長野県飯山市大字飯山2227
●電話番号:0269-62-2057
●蔵元見学:不可
●販売所:あり(試飲可)
●アクセス:
<電車の場合>
JR飯山駅から徒歩15分                             <車の場合>                                  豊田飯山ICから車で15分

●駐車場:あり